2015年3月24日火曜日

松吉俊 助教が言語処理学会 最優秀論文賞と論文賞を受賞

コンピュータ理工学科の松吉俊 助教が言語処理学会の論文誌に投稿した論文2編が、2014年の最優秀論文賞と2014年の論文賞を受賞しました。前者は共著の論文であり、後者は単著の論文です。

最優秀論文賞

  • 松林優一郎, 飯田龍, 笹野遼平, 横野光, 松吉俊, 藤田篤, 宮尾祐介, 乾健太郎. 日本語文章に対する述語項構造アノテーション仕様の考察, Vol.21, No.2, pp. 333-377, 2014. 


論文賞

  • 松吉俊. 否定の焦点情報アノテーション, Vol.21, No.2, pp. 249-270, 2014.


これらの賞は、2014年に出版された論文誌に掲載された論文28編のうち、受賞に相応しいと選定された1割程度の論文に対して与えられます。さらに、このたび選定された論文4編のうち、最高評価を得た論文1編に対して最優秀論文賞が送られます。

前者の研究は、コンピュータが日本語テキストを自動解析する時に重要となる技術である「述語項構造解析」の仕様について議論・考察したものです。現状の問題点について深く整理し、その改善策を提案しています。

後者の研究は、コンピュータが「否定」の意味をうまく扱うための基盤を提供するものです。「雪が降っていたので、ここに車では来ませんでした。」という文を人間が読むと、「(車以外の方法で、) この人はここに来たんだな」ということが容易に推測できます。ですが、現在のコンピュータは、「来ませんでした」という文字列に引っ張られて、「ここには来ていない」と判断してしまいます。言語学的に考察すると、実は、この文では否定の焦点 (まさに否定したい箇所)は「車では」にあり、それゆえに、車を使ったことのみが否定されており、来たこと自体は否定されていません。この研究では、このような焦点の情報を付与したテキストデータを構築し、コンピュータが焦点を自動認識するための枠組みを提案しています。

受賞した松吉俊 助教は、「自然言語処理の分野で大変名誉ある賞を同時に2つ受賞でき、とても光栄に存じます。日本語テキストの高度な処理に、述語項構造解析の技術や否定を扱う枠組みは欠かせないものと思っております。これからも言語の意味を扱う研究に真摯に取り組んでいきたいと思います。」と話しています。